インターンの性能
完全に年功を無視できるような能力主義体制を直ちに敷くことには無理がありますので、当面は定期昇給の中である程度年功賃金を配慮しながら、徐々に能力主義的賃金や人事体制にもっていく施策を打っていくことになります。
この点につきましては第3章、第4章で詳しく述べます。
現在、男女の区別による賃金格差は労働基準法に違反することになりますが、学卒初任給の統計調査で基本給において男女の差が出ているのはなぜでしょうか。
やはり職種の違いとして考えるべきでしょうか。
同じ事務職、例えば経理なのに男子と女子の初任給が違うということは同一労働同一賃金に反することになりますが、現実に多くの企業でこの格差が公然と生じています。
よく総合職と一般職という社員の身分の違いで説明されることが多いのですが、はたしてそのような区別が中小企業でできるのでしょうか。
また製造現場などで四十歳くらいの男子と女子で同じ作業をしていても基本賃金に相当の格差があることもしょっちゅうですが、これも総合職と一般職の区別ができるのでしよう。
この男女の差は単に「男は一家を背負っている、もしくは将来背負うから」という理由でしか過ぎないことが多いようです。
それと女性には補助的な仕事をさせる、という暗黙の了解から、結果論として総合職と一般職が存在しているのです。
ゆえに中小企業では総合職と一般職を分けると社員にその説明ができなくて困ることがあります。
この便利さが災いして手当を乱発しているケースがよく見られます。
この中で特に重症なのが「疑似基本給」というものです。
賞与や退職金に反映する賃金を抑える目的で、基本給から一部を抜き出したものをいいます。
さて、手当の種類を区分すると次の四つになります。
手当というのは「基本給でまかなえない個別事情による対応をするもの」されています。
また手当は社員を個別にねらい撃ちして支給できる性格上、非常に便利なものです。
文字どおり仕事に関連して支給する手当です。
肩書き対応、仕事のつらさ、社内における仕事の相対的価値(職種の差)、ご苦労さん代等が対象になります。
これら四つの内容と代表的な手当について次に述べていきます。
役職手当は、本来は基本給に含めて考えるべきものです。
というのは、本来役職というのは、例えば「課長という難しく大変な職務」を命じ、「課長ができる能力」を処遇するわけですので、基本給の決定要素である「能力の高さ」、つまり等級で対応すべきもので、手当であらためて支給すべきものではないのです。
この役職手当は「ああ俺も課長になったな?」という実感を持たせるには最適で、やはりもらう側と支給する側の心理的な効果を考えると、ないよりあったほうがよいと思います。
賃金というのは心理的なものも大きく影響するので、理屈に合わないからといって直ちに合理化すべきものではありません。
特に中小企業のように経営トップの意向を大きく反映したい賃金制度ではこういった配慮は必要です。
また、役職降格があり得る場合も、手当で処していたほうが納得性の面からもしくみ上からも扱いやすいと思います。
この役職手当の問題として、課長になると役職手当をアップする代わりに残業手当を支給しない、というやり方があげられます。
なぜ課長になると残業手当を払わなくてよいのでしょうか。
一般に大企業では課長になると組合員をはずれて経営層の仲間入りをするためと解釈されていることが誤って常識化したことなのです。
実際に中小企業において本当に残業手当の支払いを法的に免除されるのは役員、よくて部長クラスだけではないかと思われます。
こういった状況ですから、へ夕に課長になると残業手当が支給されないことで部下と月次賃金が逆転するといったことが起こります。
下手なやり方で、課長自身の士気を鈍らせると共に「課長になんかなるものじゃない」という雰囲気を生みだし、法律上というよりも組織活力維持の面から問題があります。
せめて逓減措置を設けて逆転現象などは通常時は起こらないようにして下さい。
さてこの役職手当は、本来は職制の長に対して支給すべきものですが、中小企業ではどうもこれが資格等級の代わりに使われていることが多いようです。
例えば部下のいない主任に役職手当をつけているとしたら、もうすでに「等級の代わり」を実施しています。
この職務手当の代表的なものが営業手当です。
営業手当は一般的には外勤を主とする営業職に支給されています。
外勤を主とする者は労働基準法の事業場外労働のみなし規定を適用しながらも時間外労働をしているのは間違いないという理由から、残業代見返りということで支給していることが多いのです。
外勤者は実際の残業時間が長く、計算をしてみると残業見返り代をはるかにオーバーしていることがあります。
この営業手当の金額は二万円程度が相場ですが、内勤者との残業時間のバランスを勘案して決める配慮がいります。
また残業見返りということであれば、基準内賃金が上昇すれば、本給の機能の一部にありました「能力の高さ」を表わす賃金として独立させて運用してはどうでしょうか。
つまり資格等級を手当的に運用するのです。
なお、役職手当についてはある調査によると八○%以上の企業が導入しており、ないところのほうがめずらしいという状況になっています。
ほかに職務手当としては「つらさ」や「危険」に対応する手当、例えば「高所作業手当」や「運転手当」が考えられます。
もう一つ、職務手当の中に「職種の差」、つまり「わが社における職務の相対的価値」をつけるために使われるものがあります。
例えば「ウチの会社では技術職が必要だ」という採用戦略が採られれば、通常は技術職の賃金水準を引き上げ、採用が有利に運ぶようにします。
この際、基本給で技術職だけ上げると賃金体系全体に問題が生ずるので、「技能手当」等を設けて対応する、ということがよく行なわれます。
この種の職務手当の設定は、歯止めをかけないとあれもこれもつけないと収拾がつかなくなってしまうことがありますので注意が必要です。
実務に役立つ公的資格の取得奨励の意味があります。
日頃実務に使う資格であれば次の手当で支給してもよいのですが、単に勉強の奨励だけの資格でしたら一時金で処理したほうがいいと思います。
単に持っているだけの資格に手当を月次で支給しては、賃金体系や他の人との能力バランス上問題になることがあるからです。
家族手当は全く生活扶助的なものであり、職務能力には関係しません。
したがって、なければそのほうが合理的ではあります。
日本の標準生計費カーブは世間相場として、ある程度の年齢別、世帯人員別の賃金水準を要求する一つの基準となっています。
この家族手当の普及率も七五%以上という実態を考えると、この手当は不合理ではあるが意味がないとはいえない、ということになるでしょう。
逆に、同一職務同一賃金、男女雇用機会均等法下において唯一、男女の差がつく(それも自然に)しくみづくりのできる手当であるともいえます。
ほかに(子女)教育手当も同じことがいえます。
この手当はあまりポピュラーではありませんが、日本のバカ高い教育関連費を考えると、この手当も家族手当同様、生活扶助手当としては有効なものといえましょう(家族手当、子女教育手当は時間外手当算出の基礎です。
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